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コグレブログ

小暮工業株式会社によるブログです。
「晩年」太宰治
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    「晩年」太宰治著、新潮文庫1947年発行、1936刊行

    太宰治(19091948)青森県金木村生れ、本名、津島修治、東大仏文科中退、酒場の女と鎌倉小動崎で心中を謀り一人助かる、1935年「逆行」1芥川賞次席、1939井伏鱒二の世話で石原美智子と結婚、山崎富栄玉川上水で入水自殺

     

    自殺を前提にして、遺書のつもりで小説をかきはじめた

    自分はプロレタリアではなく、農民を搾取する大地主の子であり、「滅びる人間」「滅民の民」である・・・・・・滅びることによってのみこの世の中に役に立つことができるのだ

    「葉」

    小説を、くだらないとは思わぬ。おれには、ただ少しまだるっこいだけである。たった一行の真実を言いたいばかりに百頁の雰囲気をこしらえている

    ほんとうに、言葉は短いほどよい。それだけで、信じさせることができるならば

    「思い出」

    化学には方程式があり幾何には定理があって、それを解する完全な鍵が与えられているが、文学にはそれがないのです、許された年齢、環境に達しなければ文学を正当に掴むことが不可能と存じます

    | 太宰治 | 14:05 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    「津軽」太宰治
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      「津軽」太宰治著、新潮文庫1951年発行、1944年作

      太宰治(19091948)青森県金木村生れ、本名、津島修治、東大仏文科中退、酒場の女と鎌倉小動崎で心中を謀り一人助かる、1935「逆行」1芥川賞次席、1939井伏鱒二の世話で石原美智子と結婚、山崎富栄玉川上水で入水自殺

       

      旧家は魔性の古沼のようなもので、代々の恨みを宿した奇怪に捩れた生命が生れる可能性をもつ。そこには格式の高い、潔癖な倫理性と、同時にそれに反発するような淫蕩の血と、この矛盾した二つのものが摩擦しあいながら流れている。

      地方の豪家に生まれたということは、革命の予感とともに絶えず彼を脅かしていた。前者の場合には、無頼と愛欲と自殺の試みへ、後者の場合には、左翼運動へ赴いたわけだが、この感受性の鋭い人が政治闘争に耐え得る筈もなかった。忽ち脱出逃亡する。一方愛欲と自殺の試みからも二度失敗し逃亡する。

       

      「修治だ」私は笑って帽子をとった。

      「あらら」それだけだった。笑いもしない。まじめな表情である。でも、すぐにその硬直の姿勢を崩した、さりげないような、へんに、あきらめたような弱い口調で、「さ、はいって運動会を」と言って、たけの小屋に連れて行き、「ここさお座りになりせえ」とたけの傍らに座らせた、たけはそれきり何も言わず、きちんと正座してそのモンペの丸い膝にちゃんと両手を置き、子供たちの走るのを熱心に見ている。けれども、私には何の不満もない。まるで、もう、安心してしまっている。足を投げ出して、ぼんやり運動会を見て、胸中に一つも思う事が無かった。もう、何がどうなってもいいんだ、というような全く無憂無風の状態である。平和とは、こんな気持ちの事を言うのであろうか。もし、そうなら、私はこの時、生れてはじめて心の平和を体験したと言ってもよい。・・・・・

      | 太宰治 | 16:51 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |