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コグレブログ

小暮工業株式会社によるブログです。
「一握の砂」石川啄木
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    「一握の砂」石川啄木
    近藤典彦編、朝日文庫、2008年発行
    啄木(1886岩手県生れ〜1912)は、
    自分は天才である、生涯の至上目的を自分の天才の実現においた
    樗牛によれば「天才」は「社会の名誉」「国家の至宝」「人類の光明」なのである
    その至上目的のためには人は自分に金銭的援助を惜しむべきではない
    友人たちからの借金、寄食、援助、下宿代の踏み倒しなどを続け、
    詩集出版を模索した
    天才でないと認めた日、それは人生の至上目的が消滅する日である
    「一握の砂」1911年に出版
    啄木は本の見開きに四首並べ、
    四首ずつ読むことで歌に込めた思いが届くようにした
    短歌は通常、上の句と下の句と二行書きであるが、
    啄木は、三行書きにして1行ごとに読むことを要求した

    我を愛する歌
    ・東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたわむる
    ・頬につたふ なみだのごわず 一握の砂を示しし人を忘れず

    ・はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢつと手を見る

    ・あたらしき心もとめて 名も知らぬ 街など今日もさまよひて来ぬ
    ・友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ
    ・何すれば 此処に我ありや 時にかく打驚きて室を眺むる
    ・人ありて電車のなかに唾を吐く それにも 心いたまむしと

    ・夜明けまであそびてくらす場所が欲し 家おもえば こころ冷たし

    煙二
    ・ふるさとの訛りなつかし 停車場の人ごみの中に そを聴きにゆく

    ・石をもて追はるるごとく ふるさとを出でしかなしみ 消ゆる時なし

    ・意地悪の大工の子などもかなしかり 戦に出でしか 生きてかへらず

    ・ふるさとの停車場路の 川ばたの 胡桃の下に小石拾へり

    ・ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな

    忘れがたき人人
    ・世わたりの拙きことを ひそかにも 誇りとしたる我にやあらぬ

    ・負けたるも我にてありさ あらそひの因も我なりしと 今はおもえり

    ・頬の寒き 流離の旅の人として 路間ふほどのこと言ひしのみ
    ・さりげなく言ひし言葉は さりげなく君も聴きつらむ それだけのこと
    ・ひややかに清き大理石に 春の日の静かに照るは かかる思ひならむ
    ・世の中の明るさのみを吸ふごとき 黒き瞳の 今も目にあり

    ・君に似し姿を街に見る時の こころ躍りを あはれと思へ
    ・いそがしき生活のなかの 時折のこの物おもひ 誰のためぞも

    ・死ぬまでに一度会はむと 言ひやらば 君もかすかにうなずくらむか
    ・時として 君を思えば 安かりし心にわかに騒ぐかなしさ
    ・わかれ来て年を重ねて 年ごとに恋しくなれる 君にしあるかな

    手套を脱ぐ時
    ・かの旅の夜汽車の窓に おもひたる 我がゆくすゑのかなしかりかな

    ・大海の その片隅につらなれる島島の上に 秋の風吹く

    ・夜おそく戸を繰りをれば 白きもの庭を走れり 犬にやあらむ
    ・夜の二時の窓の硝子を うす紅く 染めて音なき火事の色かな
    ・あはえなる恋かなと ひとり呟きて 夜半の火桶に炭添へにけり
    ・真白なるラムプの笠に 手をあてて 寒き夜にする物思ひかな

    ・曠野より帰るごとくに 帰り来ぬ 東京の夜をひとりあゆみて
    (男)
    | 石川啄木 | 15:53 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |